亜鉛めっきを変色させる4つの原因
当社の亜鉛めっき鋼線を使用して作られたバネの変色は次の4つの原因が考えられます。
- 亜鉛めっき表面の伸線潤滑被膜の劣化物
- 250℃以上の熱処理による熱拡散
- 亜鉛めっきの腐食
- めっき不良による剥離
原因1. 亜鉛めっき表面の伸線潤滑被膜の劣化物
亜鉛めっき鋼線「マックワイヤー」は湿式方式で伸線しているため、ワイヤのめっき表面には伸線潤滑液の被膜ができます。
伸線潤滑液は使用経過とともに劣化し、その潤滑被膜にも劣化物が取り込まれます。
潤滑被膜に劣化物が多量に取り込まれるとバネ加工後の熱処理により炭化して、亜鉛めっきの色調や光沢を変化させ、色ムラを引き起こすことがあります。
そのため当社は伸線潤滑液の濃度と温度管理により劣化物の増殖を抑え、また潤滑液の交換サイクルを早めることで変色防止の対策を行っています。
原因2. 250℃以上の熱処理による熱拡散
亜鉛は溶融温度が比較的低いため250℃以上で熱処理(テンパー)を行うと素地の鋼の鉄分が亜鉛めっき層に熱拡散(合金化)を始めます。
拡散層がめっき表面に至った場合、バネ表面の色調と光沢に変化を与え、色ムラや変色が発生します。
ただバネは黒く変色しますが耐食性は熱処理温度に比例して良くなります。
原因3. 亜鉛めっきの腐食
亜鉛は両性金属であり酸及びアルカリの両方に反応します。
したがって水や湿気、汗などの腐食促進物質や酸性ガス、塩素ガスなどの酸性腐食雰囲気に晒されますと亜鉛めっき表面が腐食され白錆が発生します。
白錆が発生すると錆びた場所が灰黒色に変色します。
また腐食した線材でバネ加工すると変色だけでなく、コイリングのバラツキにより歩留りにも影響しますので、もし当社製品を使い残された場合にはポリ袋等に密閉するなど適切な管理をお願い申し上げます。
原因4. めっき不良による剥離
めっき不良による剥離で素地の鋼が露出している場合、バネ加工後に熱処理を行うと剥離部分は鋼の酸化被膜(テンパーカラー)により黒くなります。
以上、亜鉛めっきの変色の原因としては上記4つが考えられます。