導電性は問題ありませんが接触抵抗は影響を受けます
一般的にピアノ線はバネ成形加工後にバネ特性を付加する目的で低温熱処理を行いますが、それによりバネ表面には酸化皮膜が発生します。
銅めっき鋼線「マックワイヤーCP」を使用したバネも低温熱処理により銅めっき表面に酸化皮膜が生じた場合、導電性や導電率は影響を受けることはありませんが、接触抵抗については大きく影響を受けますので注意が必要です。
酸化皮膜の対策としては以下の2つの方法があります。
- 低温熱処理後の仕上めっきで酸化皮膜を除去
- 無酸化熱処理で酸化皮膜を発生させない
方法1. 低温熱処理後の仕上めっきで酸化皮膜を除去
「マックワイヤーCP」をバネ成形加工し、低温熱処理した後に金めっき等の仕上げめっきをすれば、仕上めっきの前処理工程で酸化皮膜を除去できます。
また「マックワイヤーCP」の銅めっきが仕上げめっきの下地として有効に機能し、仕上げめっきの品質を高めることができます。
導電性の面でも「マックワイヤーCP」の導電率(13~15%)が、仕上げめっきに加算されるので導電性と接触抵抗に優れたバネを作ることが可能です。
「マックワイヤーCP」は導電性と最終仕上げめっきの下地として両方の機能を兼備えています。
方法2. 無酸化熱処理で酸化皮膜を発生させない
真空炉または無酸化還元ガス雰囲気炉による熱処理方法を採用すれば酸化皮膜は発生しません。
「マックワイヤーCP」の場合、後めっき工程が省け、酸化皮膜の無い導電性バネを作ることが可能です。
また酸化皮膜の除去工程や導電目的の金めっきやニッケルめっき処理工程を省略することができコストダウンに貢献できます。
さらに窒素と水素ガスによる無酸化還元ガス雰囲気炉を使うと、酸化皮膜の不生成のみならず、水素の還元性ガスにより銅めっきの変色や油などの汚れが還元除去され、とてもきれいな光沢のある銅色に仕上げることができます。
また表面は不活性ガスである窒素の極薄い皮膜によりコーティングされるため通常の使用では銅の変色の心配はかなり軽減されます。